賢哲なる恣意性

桐峰矜公式ブログ

  

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夢がないならセールスを学べ

   

「あなたには夢がありますか?」と聞かれて自信を持って「はい!」と答えられる若者が昨今ではかなり減少傾向にあるらしいのだが、そんな由々しき事態をズバッと解決に導く素晴らしい方法がある。非常にシンプルでありながら極めて本質的な考え方だ。

 

「夢がなければセールスを学べば良いじゃない!」とはいつぞやの時代のフランス王妃の言葉のようだが、その背景にある論理をきちんと説明させてもらえれば、あえなくギロチン台の露と消えることもないだろう。

 

さて、人生における究極的な目標としての「夢」と、主に営利企業の実務現場における販売作法としての「セールス」に一体どのような関係があるのだろうか。そう思われた方も読者の中には数多くいるだろう。

 

その問いに答える前に、まず、非常に身も蓋もない事を言ってしまえば、もしあなたに夢があるのなら、今すぐに脇目も振らずそれに邁進することだけに没頭すれば良い。というより、極端な話、セールスなんて学んでいる場合ではない。既に人生においてやりたいことが決まっているのだから。

 

つまり、オレが本記事で想定する読者層というのは、なんとなく何者かになりたいと漠然と思ってはいるけれどもこれと言って「確固たる使命感」みたいなものはまだないというような人々だ。もしかしたら、あなたがまさにそうかもしれない。

 

さて、「セールス」という言葉を聞くと、一般的にはスーツにネクタイを締めた営業マンが思い浮かぶかもしれない。そのイメージ自体は決して間違ってはいないのだけど、ここではもっと広い意味を内包する概念として「セールス」というものを捉えてみてほしい。

 

本記事で言及する「セールス」の技術(能力)とはつまり、抽象的に言えば、「物事の価値を正しく伝える技術(能力)」の事である。そういう定義で使っていく。

 

「価値を適切に伝える」とは本質的にどういう事なのか。当ブログの過去記事で幾度も述べてきた事ではあるけれども、やはりここでも繰り返しておく。つまり、「価値」とは個々人の主観によって見出されるものであって、その商品(サービス)自体に付属しているのではないわけだから、当然の事として「相手にとっての価値」というものをきちんと誠実に表現していかなければならない。

 

その前提に立ってみると、セールスをする側は「相手が何を価値として見出すのか」という問いの答えを知っていなければならない事になる。もちろん、他者の思考を100%理解する事など不可能だ。けれども、この精度をでき得る限り高めていく。その営みに「価値を正しく語る」という事の本質がある。

 

「セールス」というのは実際の作業としては単純な販売作法のひとつでしかないのだけど、その精度を高めていこうとすればするほど、本質的には広い意味での「人間を理解する」という極めて崇高な営みに繋がっていくのである。目の前の「お客様」が何に価値を見出すのかという事をひとつひとつ理解していく。その積み重ねが究極的には「人間理解」である。

 

これこそが「夢がないならセールスを学べ」とオレがある種の確信を持ってオススメする理由である。「人間を理解する」とはすなわち、社会(もっと言えば世界)が何を求めているのかが理解できるようになるという事だ。つまり、どのような道を最終的に選んだとしても、生きていくうえで何にでも応用が効くスキルを身に付けておくことに損は絶対ない。

 

夢があるのは素晴らしい事だ。人生の目標に向かって、寝食も忘れて没頭したら良い。

 

けれども、今この瞬間に別に夢など描けなくても、「価値を正しく伝える」という事、そして、もっと広く「人間を理解する」という事を訓練によって地道に積み重ねておくことは将来いつか夢が見つかったとき、必ず役に立つスキルとして自分の中に確かなものとして残る事になるだろう。

 

そう、「夢がなければセールスを学べば良いじゃない」byキリー・ミネトワネット

 

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