賢哲なる恣意性

桐峰矜公式ブログ

  

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脳内に本棚を創る方法

   

世の中には良質な書籍が溢れている。そして、特定ジャンルだけに絞ったとしても、毎日いくつもの新刊が発売される。だからこそ、当然ながらその全てに目を通すことなど現実的には不可能だ。けれども、その「書籍」というものが創りだす“知の体系”とでも言うべきものの全体像だけでも把握しておく事は非常に有益である。

 

世の中にある本の内容を全て把握する事など不可能なのだから、この有限な人生の中で読むべき本(きちんと時間を使うに値する本)というのは極めて慎重に見定めなければならない。

 

そこでひとつ、世の中のどんな知識がどんな本に書かれているのかという「知識の枠組み」を漠然と把握するための方法がある。意外と簡単に誰でもできるのでオススメである。

 

1.書店へ行く

当たり前だが、まずは本屋に行こう。それも、できるだけ有名な大型書店が良い。まあ重要なのは有名であること自体ではなくて、単純に蔵書数が多ければ多いという事なのだが。

 

2.全ての書籍のタイトルを流し見する

次に、片っ端から全ての棚をザーッと見ていって、背表紙(たまに正面置きのものもある)にあるタイトルを見る。この際、別に暗記する必要はない。そんな膨大な量をできるわけがないので。とにかく見る。見た瞬間から忘れても良いから見る。何故なら、タイトルとは最も端的な本文内容の要約か、あるいはその本が扱うテーマであって、それはすなわちその本が出版された時代における世の中の論点のひとつだからである。

 

3.全ての書籍の目次を見る

書籍のタイトルを全て把握するだけでも知識の全体像が脳内にかなり構築されてくると思うけれども、さらにそこから一歩進んでみようという意識の高いあなたには、目次をまた片っ端から見るというのをオススメする。方法論的にはタイトルでやった事と同じである。目次とはその章の要約あるいはテーマであるというのも同じ。

 

4.複数の大型書店で繰り返す

まあ当然ながら規模にもよるのだけど、おそらくひとつの書店の全体像を把握するのにだいたい3ヶ月から6ヶ月はかかるだろう。それでも、毎日30分ほど仕事帰りに立ち寄るだけならたいした負担でもないはずだ。そして、やはり何事もバランスが大事である。いかに大型書店と言えども、ひとつの本屋だけではどうしても品揃えに偏りが出る。そうならないために他の書店でも同じことをしてみよう。おそらく、その際に大部分は復習にもなって一石二鳥である。

 

さて、このようにして脳内に知の全体像が形作られる。

 

この情報化が著しい現代にあって、その無限にある情報をひとつひとつ処理しようとしていては、それだけで人生が終わってしまう。重要なのは、自分が求める情報がどこにアクセスすれば得られるのかをきちんと知っている事である。

 

その一環として、どの本を読めば何が書いてあるのか、漠然とでも把握しておくことは非常に有益であろうと思う。是非とも、なるべく若いうちにこの過程を体験しておいてほしい。

 

脳内に仮想の本棚を構築する事ができれば、自分の人生にとって本質的に意味のある読書にこそもっと多くの時間を割く事ができる。また、一通りこの過程を済ませた後は、新刊が出るたびに同じことを繰り返していけば、世の中の論点とその移り変わりを体感する事もできる。

 

せっかく縁あって『賢哲なる恣意性』の読者でいてくれるあなたなら、広い意味での「インテリジェンス活動」に身を置く者として、一度ぜひ試してみてほしいところである。

 

 - 思考