賢哲なる恣意性

桐峰矜公式ブログ

  

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Bruno Mars『Just The Way You Are』を聴いて思うこと

   

Bruno Marsというアーティストを知っているだろうか。

 

(もし知らなければこちらでご確認あれ ⇒ Wikipedia – ブルーノ・マーズ

 

さて、では、何はなくともまずはこちらを聴いていただきたい。

 

Bruno Mars『Just The Way You Are』

 

どうだろうか。

 

非常にシンプルなメロディに乗って流れてくる優しい歌詞がとても心地良い、ポップスの王道といった感じの名曲である。しかしながら、「シンプルかつ王道」ではあっても、決して「ありきたりで平凡」ではない。唯一無二の確かな個性と存在感を強く感じることができる楽曲である(もちろん彼自身の実力が高いことが大前提なのは言うまでもないが)。

 

さて、当然ながら歌詞は全編を通して英語なので、ひとつオレなりの解釈で和訳してみようと思う。これでもかというほどヒロインを全肯定するという、今まで意外とありそうでなかったタイプの歌詞が非常に印象的だ。

 

尚、意図的に意訳をしている部分が多いかもしれないが、そこはオレなりの日本語に対する感性がより強く反映されているのだということにしてしまおう。

 

【以下、歌詞の和訳】

“君の瞳の前では星の輝きすら霞んでしまう”
“君の髪は何もせずとも美しく流れている”
“とても綺麗だ”
“そう毎日君に伝えるんだ”

“僕は知っているんだ”
“僕がそう伝えても君は信じてくれないことを”
“僕が見ている君がどんなに素敵か”
“君がわかっていないなんてとても悲しいことだ”
“けれど君はいつも僕に「『君は素敵だ』と言って」と頼むんだ”
“だから僕は言うのさ”

“君を見ていると”
“僕が変えたいところなんてないよ”
“だって君は素晴らしいんだから”
“それがありのままの君の姿なんだ”
“君が微笑むと”
“世界中が動きを止めてしばらく君を見つめるんだ”
“そう君は素晴らしいんだから”
“それがありのままの君の姿なんだ”

 

“君の指先に許されるならずっとキスしていたい”
“君の笑顔を君は嫌うけど僕にはとても魅力的なんだ”
“とても綺麗だ”
“そう毎日君に伝えるんだ”

“君は知っているんだ”
“僕が君に変わってほしいだなんて言わないって”
“もし君が目指すのが「完璧」だとしても”
“それは今の君と同じ姿になるんだ”
“もし君が自分に自信が持てないときにも”
“君は僕が迷わず言ってあげるとわかっているんだ”

“君を見ていると”
“僕が変えたいところなんてないよ”
“だって君は素晴らしいんだから”
“それがありのままの君の姿なんだ”
“君が微笑むと”
“世界中が動きを止めてしばらく君を見つめるんだ”
“そう君は素晴らしいんだから”
“それがありのままの君の姿なんだ”

【以上、歌詞の和訳】

 

さて、オレが訳すとこのようになる。「意訳」のつもりが「誤訳」になっていないことを祈るばかりだけれども(笑)。果たして、皆様の感性とは合致しただろうか。ちなみに、いわゆるCメロと最後のサビは意味的に繰り返しになるだけなので省略してある。

 

このように、少しだけ自分に自信が持てない女性に対して全力で君は素晴らしいと言ってあげるという、非常に誠実な優しさを感じる歌詞である。

 

この楽曲を聴いていて強く思うのは、なんというか、80年代の王道ポップスにテイストが回帰してきているなと。いわゆる、マイケル・ジャクソン的なポップスのノリから一周回って螺旋的に発展してきた感というか。古き良きテイストを取り入れながらも現代的なカッコよさも兼ね備えているという、非常に時代性にマッチしていた楽曲だと感じる。だからこそ世界的な大ヒットとなったし、多くの人が「どこかで聴いたことがある」というレベルの名曲たちの仲間入りを果たせたのだろう。

 

また、彼自身のパフォーマンスを少し観てみると感じるのだけど、実は我々日本人の感性にとても受け入れやすいのではないかなとも思う。なんというか、いわゆるアメリカンドリーム的なゴリゴリのセレブ感を過剰に纏ったりはせず、ある種の「和の感覚」とでもいうべき、安心感のある柔らかい雰囲気は割と日本人好みなのではないか。

 

というわけで、もうひとつ動画を観ていただこう。

 

Bruno Mars『Just The Way You Are』(Live)

 

こちらは同じ『Just The Way You Are』のライブ映像だけど、オレの中で特に印象的なのは、歌い終わった後にお辞儀をするところだ。オレの知識不足か認識間違いでなければ、西洋人は一般的にあまりお辞儀をすることはないと思うのだが。しかし、このあたりも日本人好みな要素のひとつだなと思ったりする。

 

ちなみにこれは余談だが、このライブ映像、CD音源よりもさらに歌がうまいように感じる。なんというか、高音の伸び具合が非常に綺麗で、より一層、胸にせまる印象を受ける。

 

そんなBruno Marsの『Just The Way You Are』について今回はいろいろと述べてきたけれども、これを機に多くの人にぜひ気に入って頂けたら幸いである。

 

最後に、広い意味であらゆる分野の「ヒット作」というものには必ずその時代性が反映されているという。これは、オレが個人的に勉強させてもらっているある人の“時代の読み方”に関する教えのひとつである。

 

確かにそのような視点で見ると、この『Just The Way You Are』のヒットの背景には、この現代における世界共通レベルでの「自己肯定感」の不足、そしてギラギラ感のある記号としての“大物”に対する食傷感が根底にあったりするのだろうかと密かに思ってみたりする次第である。

 

 - 音楽