賢哲なる恣意性

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黒沢薫『遠い約束』歌詞の意味,解釈,考察

   

本記事は2013年6月に桐峰矜の別のブログ『キョウのゴスコトバ』に投稿された記事を移行させたものである。このブログ『賢哲なる恣意性』とはだいぶ文体などのテイストが違うけれども、せっかくなのでそのまま載せようと思う。

 

 

≪≪≪以下、本文≫≫≫

皆様こんにちは。

桐峰矜(きりみねきょう)です。

今回は、ちょっとした番外編ということで、黒沢さんのソロデビューシングルである『遠い約束』の歌詞について、私、桐峰矜の独自の視点から解釈と考察をしていきたいと思います。

皆様どうぞよろしくお願いします。

 

≪楽曲基本情報≫

『遠い約束』 黒沢薫

作詞:相田毅
作曲:黒沢薫、妹尾武

曲の構成は、

Aメロ Aメロ Bメロ サビ
Aメロ Bメロ サビ
Cメロ サビ サビ

といった感じです。

歌詞を引用する場合には、“二重引用符”を使います。
例 “遠い昔交わした 約束のように 君はここにいる”

 

≪解釈&考察≫

さて、ゴスペラーズのエースヴォーカリスト(だと桐峰が思っている)黒沢さんのソロ活動1stシングルである『遠い約束』です。

 

この『遠い約束』は、ゴスペラーズとしての自分、そして、一人の歌手としての自分、という両方の立ち位置からの思いを、運命的なラブソングという形式に乗せて歌っているとても大人な楽曲になっていますね。

 

非常に真摯で誠実な黒沢さんの思いが感じられると思います。

 

……と、言いつつ作詞は自分じゃないんですけどね(笑)

 

この『遠い約束』の作詞は相田毅さんという方で、『街角 -on the corner-』の作詞もこの方ですね。

 

人と人との巡り逢いをテーマにした内容の歌詞には(ゴスマニのなかで)定評があります。

 

というか、意外な事実があるんですが、現時点(『Promise』から『氷の花』まで)のシングル曲において、黒沢さんが単独で作詞した楽曲というのはひとつもないんですよね。

 

もちろん、「作詞:ゴスペラーズ」という表記になっている楽曲はいくつかありますが、単独ではまったくありませんでした。

 

これは正直かなり驚きましたね。

 

そういう意味では、改めてゴスペラーズというのはメンバー間のパワーバランスがとても良いグループだなあと思うのでありました。

 

さて、それでは内容に。

 

“いくつか雨が 通り過ぎ 君と逢う”
“はじめて聞く言葉が 僕は何故 懐かしいの”

 

まず、雨というのは、マイナスの気分の象徴ですよね。

 

つまり、ゴスペラーズのキャリアの中で、なかなか芽が出なかった時期のことを表しているのだと思います。

 

後半は、ニュアンス的には、初めて会った気がしない、ということなんですけど、なぜそう思うのかという部分はちょっとサビのところで言及します。

 

次へいきます。

 

“形ないもの 人は求めたがるから”
“不安に愛を染めて それに皆 縛られる”

 

ここは、割と正統派なラブソングといった感じの歌詞がきていますね。

 

ちなみに後半の最初は倒置になっています。

 

わかりやすい語順は、「愛を不安に染めて」ですね。

 

つまり、簡単には目に見えないからこそ、愛情を疑ってしまって、そこに頭がとらわれてしまうというニュアンスでしょう。

 

Bメロへ。

 

“別々の街から 別々の道へと”
“歩き出した二人が 同じ夢 今は見る”

 

ここは非常に多様な解釈ができますね。

 

まず、通常のラブソング的な感性で考えると、主人公とヒロインの関係性として、『ひとり』における“別の夢 追いかけたあなたが 今 僕のそばにいるなんて”と似たニュアンスだとわかると思います。

 

あるいは、ゴスペラーズとファンとの関係性としても考えられると思います。

 

しかし、私がここの歌詞に対して非常に感慨深いと思った解釈は、黒沢さんと村上さんの関係としても当てはまるということなんですよね。

 

なんといってもこの二人の出会いがなければそれ以降のすべての出会いは意味をなさないわけですから。

 

もしこれが私だけの深読みで、他の誰も賛成しないとしても、私はこの解釈でいきます(笑)

 

そしてサビへ。

 

“遠い昔交わした 約束のように 君はここにいる”
“今を刻みたい この右手は離さない”

 

私はこのサビを初めて聴いた瞬間にはっきりと理解しました。

 

この“遠い昔交わした約束”とは、

“I’m with you どんなときも”
“I’m with you どこにいても”
“今以上 そばにいるよ”

という約束なのだと。

 

だからこそ、その約束通り“君”(つまりファン)が“ここにいる”(応援し続けてくれている)ということなのだと思います。

 

Aメロの“はじめて聞く言葉が 僕は何故 懐かしいの”というのは、つまり、今現在のファン層というのは新規の人がだいぶ増えているはずなので、そういう意味で、はじめての人も多いでしょう。しかし、そのファンの作り出す全体的な空気感のようなものが、決して初めてのものとは思えない懐かしさで、昔と変わらず愛があると感じるということを表現しているのだと思います。

 

後半部分は、ちょっとおもしろいというか黒沢さんならではの表現になっていて、「僕は左利きなので女性と手を繋ぐときは利き手をあけて右手で繋ぐんですよね」という趣旨のことを当時のインタビューで語っていた気がします(笑)

 

“迷ったなら 思い出せばいい”
“僕を このぬくもりを”

 

ここは特に問題はありませんね。

 

2番にいきましょう。

 

“言葉はいつも 想いには足りないから”
“抱きしめる強さだけ 恋人は欲しがるね”

 

ここの歌詞は意味的に1番のAメロの2回目とほとんど同じことを言っていますね。

 

そもそも、形のないものを無理やり形にしようとすれば、当然それはうまくいきませんよね。

 

というちょっと微妙な恋愛観をしつつ(笑)

 

Bメロにいきます。

 

“何気ない1日 それが運命になる”
“そして 人生の意味 今 君に授かったよ”

 

ここの“1日”という表記は絶対「一日」の方がいいと思うんですけどね(笑)

 

まあ、それはともかく、ここも村上さんに対するメッセージとしてのニュアンスが感じられます。

 

もし、村上さんと出会っていなければ、当時、チビ・デブ・メガネ、という三拍子揃った完全なる非リア充だった黒沢さんはどうなっていたことか。

 

日本のヴォーカルグループという文化にとって多大な損失だったことは間違いないでしょう。

 

そういう意味で、まさに“人生の意味”を“授かった”という表現がぴったりだと思います。

 

さて、サビへ。

 

“遠い彼方まで行く 約束の羽が 僕ら乗せていく”
“(遙かな空)”
“切ない胸と 愛しい胸 かさねたい”

 

もっともっと高みへ一緒に連れて行くという決意表明でもあり新たな約束でもありといった感じですね。

 

後半は、マイナスの感情をプラスの感情で塗り替えようというニュアンスだと思います。

 

“心が言う (そっと) 心が言うのさ (強く)”
“めぐり逢えたと”

 

口にしなくても、潜在意識から湧き上がるほどの思いだということですね。

 

なんというか、1番のサビがこの『遠い約束』のメインテーマだと思うので、他の部分はだいたいそれに付随するニュアンスの歌詞が多いです。

 

ではCメロへ。

 

“空に連なる 雲の影 風の形”
“見上げる君の その髪”
“吸い込まれ とけていく”

 

前半は普通に美しい情景描写として成り立つんですけど、後半がまた黒沢さん仕様になっています(笑)

 

これは、シチュエーション的に相手の女性に背の高い方を想定しているわけですね。

 

ですから見上げることになるという。

 

非常に微笑ましい歌詞だと思いま、す……?(笑)

 

そして最後のサビですね。

 

“遠い声の導き 約束のように 僕はここへ来た”
“透明な過去の 名前もない あの駅で”
“僕は君と (君は) 出会っていたことを (僕と)”
“思い出したよ”

 

まるでゴスペラーズが大物になって、自分がソロデビューすることが運命づけられていたかのようであると。

 

そして、“駅”というのは、人生において進んで行く道の途中という意味の比喩だと思うので、

 

これはつまり、『永遠に』をリリースしたときであったり、『ひとり』をリリースしたときであったり、あるいは、ベストアルバム『G10』をリリースしたときのような、そういう明確なポイントではなくて、“透明な過去の名前もないあの駅”ですから、まだ何も成し遂げていなかった頃から応援してくれていた人たちに対する感謝のメッセージにもなっているのだと思います。

 

このあとは1番のサビとほとんど同じ歌詞でサビがもう一回きますね。

 

そしてラスト。

 

“夜が明けて 陽ざしが生まれてく”
“新しい 空へ”

 

この当時のゴスペラーズは、(もちろん前向きな)活動休止中であったので、それを“夜”とたとえて、まだまだこれからもずっと歌っていくのだという決意を新しくしたということだと思います。

 

ここから、もう一度初心に帰って『一筋の軌跡』に繋がっていくのだと考えると非常に感慨深いものがありますね。

 

そんなわけで、『遠い約束』の歌詞を私なりに解釈し、考察してみました。

 

いかがでしたでしょうか。

 

これからも、稀に、番外編としてゴスペラーズ以外のアーティストの楽曲の歌詞を解釈&考察していくかもしれないので、その時はよろしくお願いします。

 

今回は最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

“新しい 空へ”

 

桐峰矜

 

≪≪≪以上、本文≫≫≫

 

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